親父のエロDVDを見つけた話

 

 

親父のエロDVDたちを見つけた。

 

 

 

1階の和室の押入れの上の棚

 

 

 

青色の四角いDVDケースに収納されて

 

 

 

見た感じエロ雑誌の付録みたいな、ちゃちいオムニバス的なやつだったと思う。

 

 

 

当時、小学5年生

 

 

 

学校から帰るとほぼ毎日押入れをうんしょと登ってそれを取り

 

 

 

両親が帰って来るギリギリまでブラウン管で見ていた。

 

 

 

ただ、DVDの並び・元の場所・ケースの向きまで徹底して元どおりに直していた。

 

 

 

その点、小5にしてぬかりはない。

 

 

 

ある日、学校から帰ると一枚のエロDVDが和室の畳の上にポツンと佇んでいた。

 

 

 

戦慄が走る。

 

 

 

「しまった...しまい忘れたか...」

 

 

 

しかし私のミスではないと瞬間的に我を取り戻す。

 

 

 

「親父、出勤前に見てたな?」

 

 

 

おそらく出勤前に一発ぬいて行ったのだろう。

 

 

 

安心

 

 

 

と同時に一抹の不安がよぎる。

 

 

 

「これ...どうする?」

 

 

 

親父のためを思えば、押入れのケースにそっと戻せば良い。

 

 

 

しかしコソコソ見ていた私に気づき、様子見で一枚そっと残していったのかもしれない。

 

 

 

「親父、やるじゃねぇか...」

 

 

 

迷いに迷った末、私はそのエロDVDを放置した。

 

 

 

 

 

 

 

後々気付いたが、あれは親父の粋な計らいだったのかもしれない。

 

 

 

口下手な親父が息子に一枚のメッセージを託したのだ。

 

 

 

「息子よ、ここに全てが詰まっている。

 

 

 

 強くなれ。息子よ。」

 

 

 

「すまねぇ、親父ィ...」

 

 

 

 

 

 

 

結果として先に帰ってきたおかんにエロDVDは回収され、親父はおかんや姉からしばらくの間白い目で見られることとなった。